おもしろ科学まつり2025では、サッカーロボットのプログラミングを体験してもらおうと思い、赤外線発光ボールとセンサを用意しました。
パルス発光方式にすることによって、自然の光の影響を受けにくく安定して体験講習を楽しめます。
ロボカップジュニア・サッカー競技のパルス発光ボールと類似ですが、仕様を変えています。
ロボットサッカー競技と違い、講習会では何人もが同時にボールとロボットを動かすことがあります。
遠くにあるボールにまで感度があるボールセンサだと、別のロボットのボールに反応してしまいます。
WU09は、遠くのボールの極めて弱い光の反応は小さくし、一方で、前方左右のセンサでボールの方向を知ることができるために、
近距離ではボールまでの距離やボールの角度に対するの反応を敏感にしています。

車型ロボットに搭載した状態。左がパルス発光ボール。

基板の下にある黒い四角い部品がフォトダイオード素子。これで赤外線を受光して電気信号に変える。
45°の角度に向けている。
その後ろの灰色の部品はインダクタで、後方からの光をさえぎるように取り付けた。
| フォトダイオード | TPS703(F) または同等品 | |
| パッシブ バンドパスフィルタ | インダクタとキャパシタによる並列共振回路 | 共振周波数 40kHz |
| 増幅 アクティブ バンドパスフィルタ 整流 |
PSoC1 CY8C27443 |
バンドパス中心周波数 40kHz |
| 平滑 増幅 |
オペアンプ NJU7043D |
ローパスフィルタにより直流分を取り出す |
ロボカップジュニア・サッカー競技では、受光に赤外線リモコン受光ICを使う方式が簡単で高感度のためよく使われます。
リモコン受光ICには自動ゲイン制御(AGC)回路が内蔵されており、受光の強さによって自動的に感度を調節します。
そのため、ボールから受けた光の強弱によるセンサ出力の変化が小さい特徴があります。
WU09はAGCを使わず半固定抵抗で設定した一定の感度で働きます。
そのため、ボールからの光の強さに敏感に反応し、ボールが近い時は出力が大きく、遠いときは出力が小さくなります。
そのためAGC方式に比べて近距離でのボールまでの距離がわかりやすくなります。
赤外線リモコン受光ICに必要な発光休止期間が不要になり、その分発光頻度を増やしています。
サブキャリアはキャリアを一定の周期で振幅変調します。
その目的は、キャリアの振幅が一定だと、ある所で受信信号が飽和し、
それ以上変化しなくなります。
それを防ぐため振幅の違いを設けて徐々に飽和させ、至近距離でもボールまでの距離の違いがわかるようにしています。